ツエーゲン金沢の選手たちが主体となって、地域の子どもたちの笑顔のために取り組む活動「Kids Smile Project」の第3回選手向け勉強会を、3月16日(木)にオンラインにて開催いたしました。
トップチームの選手達は2020年7月より、毎月フードバンクへの食品寄贈活動を行っております。当初は、有志の選手7人のみでの活動でしたが、今シーズンからは、趣旨に賛同した全選手が活動に参加することとなりました。
そこで今回は改めて、フードバンクへの食品寄贈活動の根本にある地域課題「子どもの貧困」を勉強会テーマとして取り上げ、金沢市役所子育て支援課の三瀬まりの様よりお話いただきました。
「貧困」には、生命を維持するための最低限の衣食住が足りない状況である「絶対的貧困」と、貧困線とよばれる一定基準を下回る等価可処分所得しかない状況である「相対的貧困」の2種類があり、令和元年の国の調査によると、相対的貧困状態にある子どもの割合が7人に1人、また、ひとり親世帯で相対的貧困状態にある世帯の割合は48.1%、すなわち約半数のひとり親世帯は相対的貧困状態にあると考えられています。
この貧困状況が子どもに及ぼす影響は多々あり、経済的な困窮から派生し、学習や教育機会、様々な経験や機会を制約されてしまうという課題があります。
それにより、職業選択の自由を失い、さらには貧困状況が長期化すると、その子どもの世代にも貧困が継続してしまう…という「貧困の世代間連鎖」に陥ってしまいます。
そういった貧困世帯の食のサポートのために「フードバンク」「フードドライブ」が存在します。
フードバンクからどのように貧困家庭の元に食品が届くのかを、フロー図で説明いただきました。
ちなみに、昨年1年間でNPO法人いしかわフードバンク・ネットに届いた食品は計29.2t!食品受け渡しの合意書を締結している福祉団体に、のべ532回食品が提供されました。
最後に、そういった貧困家庭に対して、金沢市が取り組んでいる施策についてもご説明いただきました。
金沢市では、平成30年度に「金沢市子どもの貧困対策基本計画」を立案するにあたり、子ども達の現状を把握するため市民に向けたアンケート調査を実施しました。「相対的貧困層」にあたる家庭では、経済的理由から、遊園地やスポーツ観戦、劇場に行くといった「子どもの体験活動が少ない」、「進学を諦めざるをえない」、「自己肯定感が低い」といった傾向が見受けられました。
金沢市ではこういった課題に対して、各種施策や事業を展開してますが、「『貧困』という言葉を使わずに如何に該当の方々に支援を届けるか」ということに課題感を持っているとのことでした。どの家庭も、自身が「貧困世帯」と認めたくない気持ちが必ずあるので、「この貧困世帯向けの支援を受ければ確実に楽になる」とわかっていても申請を出しづらい、そのため、本来支援を受けるべき人達のもとに届いていない…という課題があるそうです。
また、こういった話をする際に「保護者の方の子どもへの愛情・頑張りが足りないのでは?」と誤解されることがよくあるが、日々必死に生きている保護者の方は大勢おり、そんな方々や子ども達をどうやって地域で支えていくかをぜひ考えてほしい…とのことでした。
お話を伺った後で、今年度の勉強会から新たな試みとして、選手達同士によるアウトプットの時間を設けました。参加者を5つのグループに分け、選手達の進行の下、話を聴いて感じたことを意見交換してもらいました。
選手達からは、まず貧困世帯、相対的貧困状態にある子ども達の数の多さに驚いたという感想、また今回話を聴けたことで、自分たちが行っている食品寄贈活動の意義を十分理解できたとの感想が多く聴かれました。
また、「金沢市だけでなく、自分の地元では『子どもの貧困』に対してどのような施策を行っているのか気になった」「サッカー選手としてできることとして、こういった子ども達とサッカー教室など開催してふれあいをもてないか」との意見も聴くことができました。
今回の勉強会を行ったことで、選手達自身も食品寄贈活動への想いがより強まったことと思います。
今後も「子どもの貧困」という課題に対して、クラブとして、選手として取り組めることを模索していきます。
<金沢市の各種取り組みについて>
<「Kids Smile Project」について>
■「Kids Smile Project」概要
トップチーム全選手に対し、「子ども達が抱える課題」をテーマに勉強会を定期開催いたします。
勉強会では、毎回テーマを変え、そのテーマを専門としている方を外部講師としてお招きし、課題や背景について詳しくお話いただきます。さらに、話を聴いたうえでの感想や「選手の立場としてできること」等を、個人ないしはグループでアウトプットする時間も設け、具体的な選手達による活動につなげてゆけるよう進めます。
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